IESデータが器具の形状と全然違う場合の対処法
目次
IESデータが器具の形状と全然違っていたらどうする!?
IESデータの形状は、直方体や円柱といったシンプルな形がほとんどです。
例えば、シンプルなダウンライトやシーリングライトのIESデータをDIALuxに挿入すると・・・
ほぼ形状通りなので違和感なく使えます。
しかし、ペンダント・ブラケット・スタンドライトなど、器具のデザインに特徴のあるものは、あまりの違いに使いにくいと感じるかもしれません。
【例1】ペンダントのIESデータを挿入すると…
半球ではなく、直方体になってしまいます。
【例2】ブラケットのIESデータを挿入すると…
単純な円柱になってしまいます。
【例3】シャンデリア風シーリングライトのIESデータをダウンロードすると…
これはもう仕方ないですよね(^ ^;)
このように、IESデータの形状は、基本「直方体」か「円柱」のどちらかになりますので、それ以外の形状だと見栄えが悪くなってしまいます。
ということで今回は、
IESデータが器具の形状と全然違う場合の対処法
を紹介します。
対処法は、以下の3通りです。
その1 器具を自作(または外部から入手)し挿入する
その2 器具画像を合成する
その3 器具形状のある配光データで代用する
では、いってみましょう。
その1 器具を自作(または外部から入手)し挿入する
もし、器具の形状が自作できるもの(または外部から入手できるもの)なら、それをDIALuxに挿入し、IESデータと重ねることで、よりよい照明シミュレーションを作成することができます。
例1の「半球型のペンダントなのに、IESデータは直方体だった場合」を例に、紹介していきます。
①器具を挿入する
器具の形状が、DIALuxのオブジェクトを使って作成できるものは自作し、それを挿入します。
ただしDIALuxで自作する場合、直方体や三角形、円柱、円錐などのオブジェクトしかない為、細かい作りこみは難しいです。
その場合、
別のソフトで器具を自作し、DIALuxに読み込む
参考:「Tinkercad」で3D球体を作って、DIALuxに読み込む方法
または、
完成された3DデータをDIALuxに読み込む
参考:家具や什器などのデータ(3Dモデル)の入手とDIALuxへの読み込み方法
で対処します。
上図のような、半球(中はくり抜き)の形状は、DIALuxで作成できないので、Tinkercadを使って作成し、DIALuxに挿入しています。
(※この方法や、DIALux内でオブジェクトを自作する方法は、DIALux基礎講座で学べます!)
②器具をIESデータと同じ位置に配置する
器具を挿入したら、IESデータと同じ位置に配置します。
今のままですと、器具がIESデータの中に埋もれているような感じですが、これでOKです。
③計算を実行後、IESデータを非表示にする
「計算」して照明シミュレーションが完成したら、IESデータの形状のみ非表示にします。
IESデータを選択し、右クリック→「選択を非常時」をクリックします。
すると完成です!
IESデータを非表示にしても、配光は消えませんのでご安心ください。
なお、非表示にしたものを元に戻すには、ビュー画面(であればどこでもOK)を右クリック→「非表示をキャンセル」をクリックで元に戻ります。
その2 器具画像を合成する
器具を作成するのは、難しい!時間がかかりすぎる!という場合は、
照明シミュレーション結果の画像に、器具の画像を合成するという方法で対処することもできます。
①器具画像に合わせて3Dビューのアングルを調整する
照明シミュレーションを完成させたら、器具画像の向きに合わせて3Dビューのアングルを調整します。
②IESデータを非表示にする
IESデータの形状のみ非表示にしましょう。
IESデータを選択し、右クリック→「選択を非常時」をクリックします。
③3Dビュー画像を保存する
アングルを決め、IESデータを非表示にしたら、3Dビュー画像を保存しましょう。
このままDIAluxの画面をスクリーンショットで保存しても良いですが、画像だけ抽出したいなら、
「ファイル」→「書き出し」→「CADビューを画像として保存」を選択します。
そして保存先のポップアップが現れたら、
保存形式をjpegにして、名前を付けて画像を保存します。
DIALuxの作業はここまでです。後は、画像の加工と合成になります。
④器具画像を加工する
今度は3Dビュー画像に合成するための器具画像を用意しましょう。
画像を加工するソフトを使って画像の背景を透明化し、照明シミュレーション結果の色味と馴染むように調整します。
(今回の場合、照明の色温度は電球色で、部屋の色はベージュ系ですので、器具の色味は電球色に加工します)
⑤画像を合成する
最後に、③で保存した3Dビュー画像の上に、加工した器具画像を配置し合成します。
器具のサイズは部屋のスケールに合わせて調整しましょう。
(ここで合成してみて、器具の色味が部屋に馴染んでなければ、改めて器具画像の色味を調整しましょう)
以上で完成です!
「例3 シャンデリア風シーリングライト」も同じように行うとよいでしょう。
①器具画像に合わせて3Dビューのアングルを調整する
②IESデータを非表示にする
③3Dビュー画像を保存する
④器具画像を加工する
⑤画像を合成して完成!
今回の例では、元画像の器具に合わせて、3Dビュー画像のアングルを調整しましたが、器具画像の加工次第で、3Dビューのアングルを変えることもできますので、そのあたりはうまく調整してください。
その3 器具形状のある配光データで代用する
3つ目は「代わりの照明で代用する」です。IESデータの他に、器具形状のある配光データがありますので、それを活用します。イメージをお伝えするという名目でお使いいただけれればと思います。
器具形状のある配光データは、一部ではありますが、対応している照明メーカーのホームぺージから入手可能です。
当サイトでは、「フロス」と「ルイス・ポールセン」の入手方法を紹介しております。
まだこの2社のプラグインカタログを入手していない方は、以下のリンク先をご覧ください。
DIALuxに「プラグインカタログ」による照明器具データを取込む方法(海外編)
では例として、ルイス・ポールセンのペンダントをDIAluxに挿入してみます。
「照明器具の選択」→「DIAluxカタログ」→「Louis Poulsen」を選択
ルイス・ポールセンのプラグインが起動したら、製品ジャンルを選択
器具を選択
「DIAluxプロジェクトに追加する」をクリック
すると使用の照明器具に入るので、それを部屋の中に挿入します。
最後に「計算」したら、完成!
器具形状も配光データもしっかりありますので、とても簡単に照明シミュレーションができます。
まとめ
これまで「IESデータが器具の形状と全然違う場合の対処法」として、
その1 器具を自作(または外部から入手)し挿入する
その2 器具画像を合成する
その3 器具形状のある配光データで代用する
を紹介しました。
最後に、それぞれのデメリットをまとめます。
その1 器具を自作(または外部から入手)し挿入する
DIALuxだと単純な形状のオブジェクトしか作成できないので、複雑な形状の器具であれば他のソフトを使って作成する必要があります。
その2 器具画像を合成する
器具画像を元に3Dビューのアングルを決めるので、3Dビューのアングルを重視するなら、器具画像の向きの加工・調整が必要となります。
その3 器具形状のある配光データで代用する
3つの中で一番簡単ですが、配光は提案したい照明器具ではないので、あくまで仮のイメージを伝えるだけとなってしまいます。
ということで、それぞれやっかいな面がありますが、その中から一番良い方法で対処していただければと思います。
以上、「IESデータが器具の形状と全然違う場合の対処法」でした。