DIALux evoの作業範囲について2
質問
作業範囲のアクティブな計算オブジェクトに、ASR A3.4作業…とEN-12464 視対…という2種類あります。それぞれの違いも含めて教えてください。
回答
作業範囲(Visual Task Area)の「アクティブな計算オブジェクト」に出てくる2つの選択肢ですね👇
✅ ASR A3.4 作業範囲
✅ EN 12464 視対作業範囲
この2つはどちらも**「視作業域(Visual Task Area)」を規格に基づいて定義するモード**ですが、基準にしている規格が違います。
それぞれの意味と違いをわかりやすく解説します👇
目次
🌟 用語と基本的な考え方
まずおさらい👇
✅ 視作業域 (Visual Task Area)
→ 作業をするメインの範囲
✅ 周辺域 (Immediate Surrounding Area)
→ 視作業域のまわりのエリア
✅ 背景域 (Background Area)
→ さらにその周辺
これらを分けて計算し、
-
平均照度
-
均斉度
-
周辺比(作業域 vs 周辺域)
を評価するのが規格に沿った考え方です。
🟢 EN 12464 視作業範囲
EN 12464-1
欧州の室内作業環境の照明基準です。
✅ オフィス、教室、工場など多目的な基準
✅ 3層構造(作業域・周辺域・背景域)
✅ 規定:
-
作業域には所定の照度・均斉度
-
周辺域は作業域の照度の0.5倍以上
-
均斉度は最低0.6〜0.7
✅ 特徴:
-
国際基準
-
日本のJIS Z9110とも考え方が似ている
-
汎用的に一番使いやすい
DIALux evoでは
👉 「EN12464 視作業範囲」を選ぶと、この基準で作業域+周辺域を自動生成します。
🟡 ASR A3.4 作業範囲
ASR A3.4
これはドイツ国内専用の「労働安全衛生の規範(Arbeitsstättenregel)」です。
✅ ドイツの労働環境に特化した基準
✅ EN12464をもとにしていますが、独自解釈や補足ルールが入っている
たとえば:
-
周辺域の幅や照度の比率に細かい指定がある
-
視環境の健康面にさらに配慮する項目がある
DIALux evoでは
👉 「ASR A3.4 作業範囲」を選ぶと、この規範で作業域+周辺域を自動生成します。
✨ 違いをまとめると
項目 | EN12464 視作業範囲 | ASR A3.4 作業範囲 |
---|---|---|
規格 | 欧州EN規格 | ドイツ労働規範 |
適用 | 国際基準・汎用 | ドイツ国内・安全衛生中心 |
特徴 | 照度・均斉度の標準評価 | より厳密・健康配慮・追加条件あり |
使いやすさ | オフィス全般に最適 | ドイツ以外はあまり使わない |
📝 実務のポイント
✅ 日本のオフィスや一般的な設計
→ 基本的にはEN12464 視作業範囲で十分
✅ ドイツプロジェクト
→ ASR A3.4を使う
✅ 共通点
どちらも作業域・周辺域・背景域を自動的に作るので、後で手動調整しなくてOK。
🟢 DIALux evoでの操作
「計算オブジェクト」モードで
▶ アクティブな計算オブジェクト
-
EN12464 視作業範囲
-
ASR A3.4 作業範囲
を選ぶと👇
✅ 設定画面で大きさ・高さを調整
✅ 規格に沿った3層構造が作られる
✅ 計算実行後に各エリアの照度・均斉度・周辺比を一括で確認できる
🌿 まとめ
✅ EN12464 視作業範囲 → 国際基準でほぼ全部対応
✅ ASR A3.4 作業範囲 → ドイツ規格に合わせたいときだけ
質問
日本の基準でもEN12464と同様の内容があるということですか?
回答
結論からいうと、日本の基準(JIS Z9110など)でもEN12464ととても近い考え方が採用されています。
なので、EN12464をベースにしたDIALux evoの機能をそのまま使っても、基本的に日本の照明計画でも大きな問題はありません。
🌟 日本のJIS Z9110とEN12464の関係
✅ JIS Z9110
正式名称:
JIS Z9110「事務所の照明基準」
ポイント:
-
作業面の平均照度の目標値(例:500lxなど)
-
均斉度(照度のばらつき)
-
最低照度/平均照度 ≥ 0.7など
-
-
周辺比(周辺域の平均照度 / 作業域の平均照度 ≥ 0.5など)
-
グレア(まぶしさ)対策
-
演色性・色温度の推奨値
これらの考え方は、もともとCIE(国際照明委員会)やEN12464の影響を受けています。
✅ EN12464-1
正式名称:
EN 12464-1「屋内作業場所の照明」
ポイント:
-
用途別の推奨平均照度
-
均斉度
-
周辺域の照度比
-
グレア制御(UGR)
-
モデリング(立体感の確保)
内容の骨格はJIS Z9110ととてもよく似ています。
✅ 共通する考え方
内容 | JIS Z9110 | EN12464-1 |
---|---|---|
作業面の平均照度 | ○ | ○ |
均斉度(照度のムラ) | ○ | ○ |
周辺比(周辺域の照度比) | ○ | ○ |
グレア対策(UGRなど) | ○ | ○ |
モデリング・立体感 | △(日本はやや簡易) | ○ |
つまり、日本の基準もEN12464の考え方をかなり取り入れているため、DIALux evoで「EN12464視作業範囲」を選べば、日本の設計基準に沿った計画にとても近い結果が得られます。
🌿 日本の実務での運用
実際のプロジェクトでは、
✅「JIS準拠の計画」と書く場合も
✅「EN12464準拠の考え方を採用」と明記する場合も
あります。
日本の設計ガイドラインやビル標準でも「均斉度」「周辺比」などEN12464と同様の評価を求めることが増えています。
📝 まとめ
✅ 日本のJIS Z9110とEN12464は内容がとても近い
✅ DIALux evoでEN12464視作業範囲を選べば、日本の設計基準にも対応可能
✅ さらに正確にするなら、目標照度や均斉度をJISの推奨値に合わせて確認する