DIALux evo操作の全体像を理解する:建築モデル→照明→シミュレーション→出力
DIALux evoでは、照明シミュレーションプロジェクトを効果的に進めるために、作業を段階ごとにモードタブで分けて進行します。ここでは、建築モデルの作成から最終的な出力までの基本操作を、段階別にご紹介します。
目次
1. プロジェクトの開始と初期設定
DIALux evoを起動すると、まずスタート画面が表示され、プロジェクトの開始方法を選べます。
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プロジェクトの選択
「屋外と建物の計画」でゼロから作成、「DWG/DXFインポート」で既存のCADデータを使用、「部屋の設計」で長方形や自由形状の部屋からスタートが可能です。 -
基本設定
一般設定では保存のリマインダー、元に戻すステップ数、言語、単位などを調整できます。照度線の自動表示設定もこの段階で行います。
2. 建築モデルの作成(空間の構築)
「構造」モードで部屋や建物の形状を作成します。
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空間の描画
寸法(長さ、幅、高さ、壁厚など)を入力して部屋を作成。Tabキーで数値入力による正確な描画が可能です。描画後の編集も柔軟に対応できます。 -
CAD/BIMデータのインポート
AutoCAD(DWG/DXF形式)の図面を読み込めば手動作業を省略できます。DIALux Proユーザーは、IFC形式でのBIMモデルも直接読み込み可能です。
3. オブジェクトとマテリアルの配置
「構造」および「材質」モードでリアルな空間づくりを行います。
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開口部の挿入
ドアや窓をカタログからドラッグ&ドロップで壁に配置します。 -
家具とオブジェクトの挿入
ソファやテーブルなどを部屋に追加し、移動・回転で位置調整も可能です。 -
色とテクスチャの適用
色見本や材質カタログから素材を選び、反射率などを設定することで、照明計算の精度にも関わります。
4. 照明器具の設置
「照明」モードで空間に照明器具を配置します。
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照明器具のインポート
IES/LDTファイルの読み込みやメーカーのプラグインで、実在する器具を使用可能。Pro版では非メンバーメーカーの器具も使用できます。 -
照明器具の配置
ドラッグ&ドロップのほか、矩形配置・自動配置などの効率的な手法もサポート。移動や回転も簡単です。 -
高度な設定
色温度や調光、シーンの作成、保守率の設定も行えます。
5. 照明シミュレーションの実行と結果の確認
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計算の実行
「計算」ボタンからプロジェクト全体を計算。PCのスペックにより時間が変わります。 -
結果の確認
3Dビューで照明効果が可視化され、「結果一覧」で平均照度や均斉度などの数値を確認できます。 -
視覚的分析
フォルスカラー表示や等照度線で明るさのムラを把握可能です。 -
グレア評価
UGR値により視覚的な快適性を確認。オフィスではUGR19以下が推奨。 -
エネルギー評価
DIALux evo 12.1以降では、エネルギー消費やCO2排出量なども自動で計算可能です。
6. ドキュメントとエクスポート
最終成果物としての出力作業を行います。
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ドキュメントの作成
計算結果、器具リスト、配置図、視点ごとの画像などを含むレポートを作成可能。Proではブランドデザインを反映したカスタムレイアウトも可能です。 -
エクスポート
PDF、DWG/DXF、そしてフォトリアルな画像生成も対応。Pro版ならMicrosoft Office形式での出力も可能です。
このように、DIALux evoの操作は段階的に整理されており、プロフェッショナルな照明計画を効率的に進めるための強力なツールです。初心者から上級者まで、各フェーズの理解がスムーズな作業に繋がります。