DIALux evoで使用できる配光データの種類

DIALux evoで使用できる配光データには、主に以下の3つのファイル形式があります:

IESファイル、LDTファイル、ULDファイルです。

 

それぞれに特徴があり、用途や地域によって使い分けられています。

 

■ IESファイル(*.ies)

IESファイルは、**北米の照明学会(IESNA: Illuminating Engineering Society of North America)**によって定義された配光データ形式で、現在では世界中で広く利用されています。
日本の多くの照明メーカーもこの形式で配光データを提供しており、日本国内では事実上の標準形式といえます。

  • 含まれる情報:光度分布(配光曲線)、光束、光源数、設置方向など

  • 特徴:ファイル構造がシンプルなため、色温度(CCT)や演色性(Ra)などの詳細情報は含まれません。

■ LDTファイル(*.ldt)

LDTファイルは、**ドイツのDIAL社が開発した「Eulumdatフォーマット」**に基づく配光データ形式で、ヨーロッパを中心に広く普及しています。
IESファイルよりも詳細な記述が可能で、照明器具に関するより多くの属性情報を含めることができます。

  • 含まれる情報:光度分布、光束、色温度(CCT)、演色性(Ra)、器具寸法、反射板の特性など

  • 特徴:ヨーロッパの照明メーカーで採用例が多く、器具仕様に関する多くの付加情報を提供可能です。

■ ULDファイル(*.uld)

ULDファイルは、DIALux専用の拡張配光データ形式で、DIALux evoで使用するために特別に設計されたものです。
単なる配光データだけでなく、照明器具の3D形状やマテリアル情報、テクスチャ、メタデータも統合されています。
これは、DIALuxの「Luminaire Tool」で器具をリアルに表示・操作するために最適化された形式です。

  • 含まれる情報:光度分布、3Dモデル、器具の材質、取り付け情報、色温度、演色性、エネルギーデータなど

  • 特徴:

    • DIALuxパートナーメーカーのみが提供

    • ファイルサイズは大きくなる傾向

    • 複数の器具バリエーションを1ファイルにまとめることも可能

     

 

いずれのファイル形式もDIALux evoに読み込んで照度計算に使用できますが、ビジュアルの再現性を重視する場合は、ULD形式が最も適しています。

一方で、同じ器具を大量に使用する大規模な案件や、照度計算・照度分布図などの数値データのみが必要な場合には、データ容量の少ないIESファイルやLDTファイルが適しています。